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コラム
(北摂アーカイブス)9.窓幌ずらり
2008 撮影:産木民彦
今では残り少なくなった千里ニュータウン開発当初からの府営住宅(B棟)。ずらりと西日除けの「窓幌」が並んでいます。団地の住棟の並べ方には2つの「流派」があり、日本人は南向きが好きなのでできるだけ南向きに並べるべきだと主張したのが日本住宅公団(現UR)。これに対して大阪府は、ヨーロッパに多い「囲み型配置」にして、囲んだ中の空間を子どもの遊び場やコミュニティの場にし、クルマと人の空間を分けることを主張しました。
囲み型にすると一部の棟は西向きになるため、居室が西向きになる窓にのみ、西日で暑くならないよう「窓幌」が付けられました。1960年代は、一般家庭にはエアコン(クーラー)はない時代でした。
このようにすべての窓に「窓幌」が付き、妻面にも窓があるタイプは佐竹台、高野台のみで見られました。初期の窓幌には、いろいろな色違いがありました。
大阪府の設計思想を示すアイテムでしたが、建替で急速に姿を消しました。昭和らしい温かみの感じられる風景でしたね。この棟は4階建です。
●「北摂アーカイブス」は、貴重な記録写真から、北摂の移り変わりをインターネット上で見られるコレクションです。「吹田市・豊中市千里ニュータウン連絡会議」は、千里ニュータウンの住民や関係者などから多くの写真を集め保存し、北摂アーカイブス内の 「千里丘陵コレクション」へ写真を提供しています。1960 年代以降、日本でも最も激しく変貌した千里ニュータウン。その内外の様子をピックアップしてご紹介します 。