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コラム

千里ニュータウンの町並みはオープンに

千里ニュータウンの町を歩くと、とても「のびやか」な感じがします。それは、道が広かったり緑が多かったり、さりげなく電柱が道路外にセットバックされていたり…いろいろな工夫がされているのですが、その全体を貫く考え方は、何でしょうか?

「オープン外構」という言葉があります。戸建でも集合住宅でも、敷地の境界にそって塀など立てず、できるだけ視界をさえぎらず、オープンに開けた外回りを造る考え方です。

千里ニュータウンは開発当初、この「オープン外構」にすることが戸建でも集合住宅でも推奨されました。分譲宅地の購入者にはパンフレット「住宅建設にあたって注意していただきたいこと」が配布され、絶対的な強制力はないものの、デザインや敷地構成上のガイドラインが示されています。

「オープン外構」は、具体的にどのようなメリットを町にもたらすのでしょうか?第一は、「町全体が一つの庭のように感じられる」ことでしょう。同じ広さの敷地でも、細かく区切って見えるのと、全体がつながって見えるのとでは、一体感は大きく異なります。それは単に外見上だけのことではなく、「コミュニティ」に対する意識にも影響してくるのではないでしょうか。「仕切りを立てない」ことは一見、侵入されやすくなりそうに思えますが、相互に死角を作らないことは、防犯上の効果があるとされています。

開発から半世紀以上が経過し、樹木も大きく成長しているので、当初の「ヌケ感」からは大きく景観が変わってきていますが、建替やリニューアルをする際も、「町全体が一つの庭のように感じられる」ような工夫を重ねることで、「千里ニュータウンらしい」町並みが成熟していくと、いいですね。

大阪府千里開発センターが入居者に配布した「住宅建設にあたって注意していただきたいこと」 1970頃

戸建区画では生垣も推奨された 2015

撮影:奥居武

新しい分譲マンションでも「外に開く」考え方が継承されている例 2016

撮影:奥居武