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コラム
千里ニュータウンの仲間たち(日本)
「日本で初めての」「大規模な」「ニュータウン」としてよく語られる千里ニュータウンですが、では日本には千里以外にどんなニュータウンがあるのでしょうか?
有名なのは、東京の「多摩ニュータウン」。愛知の「高蔵寺ニュータウン」。これらはいずれも千里に続いて、高度経済成長期の都市集中による乱開発を防ぎながら住宅不足を解消するために計画・開発されました。
関西では、千里に続いて大阪府が造った「泉北ニュータウン」。兵庫の「須磨ニュータウン」「西神ニュータウン」「神戸三田国際公園都市」、大阪・京都・奈良にまたがる「けいはんな学研都市」もニュータウンの仲間です。
日本では「何がニュータウンか」を定義した法律はないため、その範囲をはっきり決めることはできません。「けいはんな」や茨城の「筑波研究学園都市」、東京の「高島平」のように、ニュータウンと名乗っていなくても、千里と共通の設計思想を取り入れて造られた「ニュータウン的」な町もあります。また、千里より前に造られた「香里団地」のように、千里よりうんと小規模でも、ニュータウンの原型になったような町もあります。
国土交通省のサイトでは、このようなニュータウンの仲間を2,022ヵ所、300ヘクタール以上の大規模なもので63ヵ所リストアップしています。
「計画的で」「ある程度の規模があって」「開発の期間を一応さだめた」住宅をメインとした町のワンセット。これが日本のニュータウンです。その中でも千里は早く、大規模に造られたため、多くの町の参考にされました。ほかのニュータウンを歩いてみれば、「千里のバージョン違い」のような不思議な感覚を味わうことができます。
千里は造ったときも多くの後続ニュータウンの参考にされましたが、いま「ニュータウン再生」の先行例としても、多くの町から参考にされています。千里ニュータウンは「どこまで行っても最先端」の運命を背負った町なのです。
多摩ニュータウン(東京)
撮影:奥居武
高蔵寺ニュータウン(愛知)
撮影:奥居武
泉北ニュータウン(大阪)
撮影:奥居武
筑波研究学園都市(茨城)
撮影:奥居武