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コラム

千里の団地鑑賞

千里ニュータウンでは今、大規模建替によって開発当初の団地は急速に減りつつあります。それでも「町のシンボル」として人気が高い、特徴のある団地をいくつかご紹介しましょう。

まず、阪急電車でニュータウンに入ると、出迎えてくれるのが南千里駅前のUR千里竹見台団地。元は3棟あった高層スターハウスが有名です。住棟が一直線ではなく、中心から三方向に延びている形の団地を「スターハウス」と呼んでいます。万博開催中は、この一部が外国人従業員の宿舎に使われ、当時は「万博外人村」とも呼ばれていました。このうち1棟は、元のイメージに近いスターハウス風を保った建替工事が進んでいます。

北千里駅前には巨大な「への字型」のUR千里青山台団地C74棟が優美な姿を見せています。千里ニュータウンでは開発当初、駅の近くにだけ高層棟が配置されましたが、これはそのひとつです。

同じ千里青山台団地でも北西方向に斜面を上っていくと、73棟の中層棟が迎えてくれます。この団地の大きな特徴は、大きくてなだらかな斜面に沿った、高原のような配置です。基本は「南向きの平行配置」ですが、長い住棟を斜面に配置すると片方が浮いてしまうので、ピロティ構造で高さを調節したり、階段が1列しかない「ポイントハウス」という住棟を挟んだりして、高低差を処理しています。

「南向き平行」の配置が多いURに対して、府営住宅ではヨーロッパに多い「囲み型」の配置が多く採用されました。これは大きなブロックを住棟で囲んで、中を緑地にして安全な空間でコミュニティを育ててもらおう…というものです。今では高野台、古江台などにわかりやすい例が残っています。

団地(集合住宅)は単調で、同じものがどこまでもある…というイメージがありますが、実際にはいろいろな工夫が詰め込まれ、バラエティに富んでいます。お住まいの方の邪魔にならない範囲で、静かに鑑賞させていただくのも千里ならではの楽しみ方です。

UR千里竹見台団地〔スターハウス〕 2020

撮影:奥居武

UR千里青山台団地〔C74棟〕 2019

撮影:奥居武

UR千里青山台団地〔中層棟ポイントハウス〕 2017

撮影:奥居武

府営千里高野台住宅の囲み型配置 2018

撮影:奥居武